秘密


「あっ!茜くん!こっち!」


ビルの前の歩道でアスカが大きく手を振っていた。

バイクをそこで停める。

「奏は?見つかった?」

「ううん、まだ、とりあえずあたしと赤通しよう」

お互いの携帯で赤通して。

「見つけたら連絡して!」

言いながらアクセルを回す。

「茜くんもね!」


とりあえず駅周辺をバイクで流す。

ロータリー

コンビニ

スタンド

ファミレス

あちこち探して走り回るけど、奏の姿は見つからない。


……どこ行ったんだよ…

………奏


裸足って言ってた。
怪我とかしてないよな?
変なやつに襲われたりとかしてないよな?


心配で気が狂いそうになる。


一旦バイクを路肩に停める。


内ポケットから携帯を出して開いていて見るけど、着信も受信も無し。


再びポケットに戻そうとしたらそれが振動して、透かさず通話ボタンを押した。


「奏っ!?」

『…悪い…カケルだ…』

なんだ…カケルかよ…

「奏は?」

『まだ見つからない、携帯も電源切ってるみたいだし…』

そう。
何度も途中で電話したんだ…
でも繋がらなくて…

「まだ、探してみるよ、じゃ」

『あっ。切るなっ…以外とお前んちだったりして…』

「俺んち?」

『…うん。恐らく』

「何で?」

『感?みたいな?』

「そんなモンあてになるか!」

『まあ、そんなに怒るな、俺の感は当たるんだ、特に女の子に関してはな、大体こう言う時ってのはな?好きな男の所に行きたがるもんなんだよ』

「……わかった、一度うちに戻ってみる、それじゃ」


アクセルを回し道路をUターンしてアパートへと走る。


自宅に戻ってるって事は無いだろうな?

父親と喧嘩する位だからそれは無いか…

美樹の家にも行ってなかったし、一度アパートに行ってそこに居なかったら、奏のうちにも行ってみよう。

…もしそこにも居なかったら?

ああ。

ダメだ。

考えが悪い方にばかり行ってしまう。


…………奏。


早く見つかってくれ。



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