秘密



佐野君は一歩後ずさり。


「…そ、それは…」

「そうよ!メイド服よっ!」


さらに美樹ちゃんは立ち上がりそれを掲げて見せた。


「勿論ロングヘアーの娘はポニテね?ショートの娘はこのカチューシャ♪」


美樹ちゃんの横でシュークリームにかぶり付きながら、カケルさんはフリルの付いたカチューシャを見せる。


……カケルさん、何処から出したんですか?それ…


「…ポニテにメイドだと?」


佐野君は険しい顔をして、腕組みをして考え込んでしまった。


私は床に落ちたケーキを拾い上げようと、しゃがみこむと、横から翼君が手伝ってくれて。


「俺がやるからいいよ、奏ちゃん、制服汚れちゃうよ?」

「大丈夫、私が落っことしちゃったんだから…せっかく作ったのに…ごめんね?翼君…」

「…おい…キャプテン…奏から離れろ」


佐野君が私と翼君の間に割って入ってきて。


「…キャプテンって…俺?」

「翼君だろ?だったらキャプテンじゃないのか?」

「はあ?」

「あはは。お前面白いな?俺がチーフで翼はキャプテンか?だったら春名は学ラン着た姉御か?古すぎてわからないか?わははは」


豪快に笑いながら、沢山のケーキが乗ったトレイをカケルさんが座るテーブルでに置く高宮さん。


「おっ♪旨そ〜♪茜もこっち来て食えよ?」

「……う」


その大量のケーキを見て顔をしかめる佐野君。


「あの…カケルさん?佐野君は甘い物が苦手なんです…」

「は?何それ?人生の半分は損してるぞ?お前…ま、いいや…とにかくこっち来て座れよ、奏ちゃんもおいで〜♪ケーキ食べよ?」

「え?でも…ここ片付けないと…」

「キャプテンがやるだろ?キャプテンなんだから…行こう奏」

「え?ちょっ、佐野君っ」


佐野君に腕を引っ張られ。


「ホントにいいよ、奏ちゃん、後はやっとくから、俺達が作ったケーキ食べてよ」

「うん。ごめんね?ありがとう、翼君」

「いいって、食べたら感想聞かせてね?」


後ろ髪を引かれつつ、佐野君と並んでテーブルに着いた。



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