秘密



後片付けを手伝い、着替えてくると更衣室に行ったヨースケを、体育館の入口で貴司と二人で待つ。


「お待たせ」


入口の扉を開けてヨースケが折り畳んだ車椅子を片手にやって来て。


「洋ちゃん、貸して?車に乗せてくる」

「おう。サンキュ」


貴司がヨースケから鍵を受け取り、車椅子を抱えて駐車場へと走って行った。


「洋ちゃん、普段はあれ、乗らないの?」

「え?…ああ、乗らないよ?あれに乗るのはバスケの時だけ、あの車椅子バスケ用なんだ、スゲー軽いんだぜ?」


そう言って笑うヨースケは普通に立ってて、障害者とは思えない。


俺の横に立つヨースケは目線が俺より少し上、高田先生と同じ位か?


「ほら、俺の足」


そう言ってジャージを捲るヨースケ。


そこにはメタリックに輝くヨースケの足。


「普通の足みたく見える義足もあるんだけど、こっちの方がカッコいいだろ?」

「うん。カッコいい、オートメイルみたいだ」

「だろ?錬金術は使えないけどな?あははは。腹減った、さ、飯食いに行くか?」

「うん。俺も腹ペコ…」


駐車場へと歩き出したヨースケは、やはり歩き方がぎこちない。


ヨースケは四月、18になると同時に車の免許を取っていて、高校も通信制に通ってると言う。


平日は書店でアルバイトをしてるらしい。


駅構内にある書店で、何度か立ち寄った事があるけど、ヨースケの存在には気付かなかった。


駐車場に停めてあるヨースケの車に乗り込み、以前球技大会の練習の時に行ったファミレスへとヨースケは車を走らせた。


なるほど、オートマなら片足でも運転出来るな。


ファミレスの駐車場に着くとヨースケは入口目の前の障害者用の駐車スペースには停めずに、一般の、しかも混んでるもんだから、いちばん奥辺りの駐車スペースに車を停めていて。


「…洋ちゃん、あっちに停めないの?」


俺が障害者スペースを指差すと。


「は?…ああ、あれは車椅子利用者用だろ?俺、歩けるし、本当に必要なやつが後から来たらそいつが困るだろ?」


……洋ちゃん、ごめん、俺、また地雷踏んだ…



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