赤い狼 弐
「ほんならそろそろ乗ろか~。」
龍は私の背中をぐいぐい押してポルシェに無理矢理乗せようとする。
「ちょ、分かったって。そんなに押さなくても自分でちゃんと乗るし。」
龍の手を背中から退かしてポルシェに乗る。
その様子を見た龍は車に乗り込みながら
「お~、お利口さんやな。」
と言って頭を数回、ポンポンとした。
…完っ全に子供扱いですよね…。
これ…。
とちょっとムカついて龍を睨むとにこやかな笑顔で私を見ていた。
…悪気は無さそうだ。
「…車。」
「ん?車がどないした?」
「進まないの?」
龍の笑顔によって私の怒りは無くなり、車が全く進んで無い事に気がいった。