赤い狼 弐






隼人はそのままの低いトーンで俺にそう言い、電話を切った。






機械音がする携帯を見つめる。






…俺が早く稚春を迎えに行っていれば…。






「くそっ!」






――ガシャンッ――






壁に投げつけた携帯がバラバラになる。







ホームルームなんて真面目に出なくて脱け出してくりゃぁ良かった。






でも、今更後悔しても遅い。





俺は拳を強く握る。





今は、自分を責めるよりも稚春の無事を願う事の方が最優先だ。





「稚春…――






無事で居てくれ。」






稚春が無事で居る事を願いながら《SINE》へとバイクを走らせた。





連side~end~





< 28 / 374 >

この作品をシェア

pagetop