ご主人様に首ったけ!
まるで自分には非がないような言い方。


今まで苦手だったから関わらないようにしてたけど、神くんってこんな性格だったの?


「……聖ちゃんはこんなの喜ばない」


いくら聖ちゃんが私を好きと言ってくれていても、そんな嘘の付き合いなんかしたって嬉しくないに決まってる。


私だって、そんな風に誰かと付き合うなんて嫌だもん。

聖ちゃんを溺愛していると思われる神くんにその名前を出したら、考え直してくれるかとも思ったのに……。


「うん、そうかもね。
だから聖にはなにも言わないでよ。
ね?ただちょっとだけ露の気持ちを表面上変えるだけで霧様を守れるんだよ?」

「……っっ」


神くんのこんなにも勝手な言い分に湧き上がる怒りが収まらない。

でもここで私が何か言い返して、霧様に危害が加わってしまったら……。


私はもう生きていけない。


「ね?」


天使のような笑顔なのに、その目はまるで悪魔のよう。

念を押すように首を傾げられて、意を決して口を開く。


「わ、たしが…神くんの言う事聞いたら……」

「うん?」

「霧様には絶対に手を出さない……?」

「ふふ、もちろん。露が約束を守ってくれるなら約束するよ」

「……っ」


そして私は……。


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