ご主人様に首ったけ!
「よし、明日からは本当にお仕事が始まるんだし、早く帰ってゆっくり休もっ」


深く考えても、分からないものは分からないんだし……!

私は自己解決をすると、帰り支度をするためにロッカーの前まで近づいていった。


すると、外から小さく扉を叩く音が聞こえてきた。


「露ちゃん?いる?」

「綺ちゃん?」


ノックのすぐ後に聞こえた声を聞き扉を開けると、綺ちゃんを迎え入れた。


「今日はもうお仕事おしまいなのね」

「うん、霧様が今日はゆっくり休めって言ってくれて……」

「そう、よかったわね。
そうそう、だんな様が露ちゃんを呼んでいたの。すぐに行って差し上げて」


どうやら綺ちゃんは、零さんに頼まれてことを伝えにきてくれたらしい。


「わかった。でも、どこに行けばいいの?」

「最初にここに来たときに通されたお部屋よ。あそこが、だんな様のオフィスルームでもあり、応接室でもあるの」

「うん、わかった。ありがとう、綺ちゃん」



私が笑顔で返事をすると、綺ちゃんも笑って部屋を出て行った。

うーん、まだ着替え終わってないけど……、このまま行っちゃえ!


幸い、メイド服はなにも着崩していなかったから、そのまま行くのに不便はなく、着替
えをして零さんを待たせてしまうより、こっちの方がいいだろうと思って、私は戸締りを確認すると、零さんの待つ応接室まで足を運んだ。

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