ご主人様に首ったけ!
しばらく沈黙が続いたかと思うと、不意に霧様が口を開いた。


「うん、やっぱり」

「え?」

「露は黒もいいけど、桃色がよく似合うね。かわいいよ」

「……っ」


霧様に満面の笑みで微笑まれて、私はまた赤くなって俯いてしまった。


そんな顔で微笑まないでください……。

ただでさえ、緊張と恥ずかしさでいっぱいいっぱいなのに、ドキドキが止まらなくなってしまいます……。


「露、僕といるときはこれを着てね?約束だよ」


そして霧様は私の方へ歩み寄ってくると、私の手を取り、また小さく微笑んで言った。


私ひとりだけ、これを着ているのは恥ずかしいけど……。

でも、霧様のこんな笑顔を見たら断れるわけもなく、


「……はい。ありがとうございます、霧様」


と笑いながら、小さく頷いた。


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