KAGAMI
「なんでそんなに可愛いの?」
今度はちゃんとアタシを見て言葉をつなぐ先輩。
「他の奴らが、赤澤を見て騒いでるの見ると、どうしようもなくムカつく。」
素直だと直感した言葉たちに、戸惑いは隠せない。
やっぱり、女優にはなれそうにない。
「おれのものでもないのに、見るなって思っちゃう。」
アタシはこの人を見る資格が無いのかも。
アタシとは正反対だ。
こんな場面でさえ感じる、植えつけられたリビドー。
「ごめん、まだ全然好きだ。」
あ…。
求めていた言葉。
アタシが今いちばん欲しかった言葉。
それをくれたのは、想太くんじゃない。
高杉先輩だ…。
「はい。」
ごめんなんて
謝られる資格もない。