KAGAMI
ごめん………
声には出さないで、言った。
麻子さんを離して下を向く。
僕は君が思っているよりも、ずるい人間なんだ…
「ううん、そんな事ない。」
殴られて、出ていくと思った。
泣きだしてしまうんじゃないかと思った。
でも、予想外の言葉に顔をあげられずには居られなかった。
「思った通りの人よ…?『俺』って言うのも、今のキスも…。」
何を言われたのか、理解出来なかった。
“俺”は分かりやすいのか?
麻子さんには、俺の行動が読めていたのだろうか?
「なんで…?」
麻子さんは俺の質問には答えずに、ふふっと笑っただけだった。