極上お姫様生活【完】

声の正体



……あれ。




ロビーのソファーで珈琲を飲んでいると、目の前を慌てた浅村蒼空が通り抜ける。


彼女は、俺の中で今一番気になる人物だ。もちろん教師と生徒の関係なのだから、必要以上に近づいたりはしていない。




………いや、前言撤回。


彼女といると自分が自分でなくなる気がして…気が付くと手を出してしまっている。



教師失格と言われても仕方ない。……本当に仕方ない事なんだから。





でも今、俺の一番近くにいるのは―――紛れもなく若宮翼だ。熱烈なアプローチを掛けられているが、まぁ嫌ではない。鬱陶しいだけだ。






「あ、松神先生!」


蒼空が俺に気付いて駆け寄ってくる。随分急いでるみたいだけど…何事だ?



「どうしましたか?」




「あの…っ、八木原君たち知りませんか!?みんな部屋にいなかったんですけどっ」


あいつらを探してるのか。と、ちょっと気が落ちる。




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