ヘタレは大人しくヘタれてろ


「涼ちゃん……」


「何で君は死にそうなんだ」


朝教室に入ると克海がヨロヨロ近付いてきた。



「お腹空いて……死ぬ……」


そう言ったかと思うと克海はガバッとあたしに抱き着いた。


「何してんだ」


「いい匂い…」


あたしの言葉も聞かずに克海は首筋に顔を埋めた。


「克海くん…」


「もうちょっと待って下さい。お腹が」


どういう仕組みか分かんないけど克海は血じゃなくても匂いで少しは満たされるらしい。
それは分かってるよ、でもね?


「一旦離れようか」


「え?」


ここ教室だから。


「涼……あんた克海くんとそういう関係なの?」


ほら見ろ。勘違いされたじゃないか。


「あー、違う違う。なんかこいつ具合悪いみたいだから保健室連れてくわ」


はい、行くよー。あたしはズルズルと克海を引きずり…否、連れて行った。






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