楽園はどこに?【BL・GL・NL】
それから再び、
忘れるほどの時が経つ。
人々の命を助ける為だけに
この街に存在し続けていた私は、
ある時1人の赤子と出会った。
母親は旅人で、
ここへ辿り着く前に命を落としていた。
街の入り口に倒れていた彼女を見つけ、
そしてその子はとり上げられた。
母胎で息絶えようとしていたその子は、
私の家である、教会へと運ばれてきた。
神と崇められるようになってから、
私は教会兼、自宅を建てられ、
そこで暮らすようになっていた。
旅人を泊めるための、宿も兼ねている。
この街に医者は居ない。
小さな怪我の治療なら自宅で。
大きなものなら、私が。
そうしている内に、
誰も目指さなくなってしまった。
だから、こういう時には
まず、教会へと患者は運ばれてくる。
そうしてやってきた赤子に、
私は自らの血を与えた。
生まれて初めて口にするものが、
人間の血液というのも、
ちょっと可哀そうな話だろうか。
しかしそうやって、
彼女は小さいながらも、生きていた。