千変万化の剣
空城の計
「確かに、妾は都合の良いことばかりを申しておる。


しかし、幸大。

この世界が、この国が好きなら妾に力を貸してはくれぬか?」



「王女様よぉ。

勘違いしてねぇか?」


「勘違い?」

「俺は、この世界も国も好きじゃねぇよ。」


「な…に!?」

「考えてもみろよ。


俺はこの国の都合で召喚されたんだ。

無理矢理な。


しかも、人間を殺すのがこの世界にきて最初にしたことだ。


それに、産まれ育った国でもないし。


いつもいつも戦争ばっかし。


王女様は上から目線。軍師に至っては邪魔者扱い。


そんな世界や国を好きとは言えねぇ。



この世界や国の人は好きだが、世界や国はむしろ嫌いだ。」



「もう良い。

貴様の言いたいことは解った。


貴様は貴様の好きにしろ。」



「ああ。

解った。


俺は俺の好きなようにする。」


「幸大さん!?」

「イヨ、お主も下がってよい。

ベンケイもだ。


クーメル、貴様は明日の戦いにおいて軍師の任を外す。


質問は受けぬ。

下がれ。」


皆が部屋を出る。
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