Five LOVE☆
その僕の返答に、貴方らしいわね。
って微笑んで、自社のゲームの資料を渡してくれた春香さん。


「あなたたちには負けたわ。
きっと私たちなんかより、いい製品を生み出せる。
あなたたちが作るべきよ。」


「春香さん…
ありがとうございます。」

「完成したら、その品、送ってよね?」


「もちろんです。」


「じゃあ、またどこかで。」

そう言って、春香さんたちは帰って行った。


聞いた話、春香さんのお母さんは…


翌日、急性肺炎で亡くなったらしい。


音楽の世界では、数々のピアニストを世に送り出したと有名な人だったという。

きっと春香さんも、悲しんだことだろう。

だが、持ち前の悠月に似た明るさで、
その悲しみも乗り越えているはずだ。


そんな中、ついに、僕たちの会社が手掛けたゲームが世に送り出される日を迎えた。

完成品は、春香さんの会社には送ったし…


そういえば、やけに悠月がはしゃいでいた。

そっか。

悠月のお母さんにも…報告しなきゃだもんな…


その矢先、僕の近くにあった電話機が鳴った。


「もしもし…」


相手は、悠月の母の入院先である栗沢病院に勤める僕の友達だった。


「久しぶりだな。
で…どうした?」


「和之。
ヤバイぞ。
お前の彼女さんの母さん…危篤状態だ。」


「………すぐ行く。」


僕は側にある箱からゲームソフトを掴むと、
更衣室に入る直前だった悠月の手を引き、車に乗せた。


「和之っ…どしたの…?」


「早く病院行くよ?
さっき友達から電話あって…
危篤状態らしい。」


それだけ言うと、車を走らせた。

もちろん、赤信号の際は悠月の手を握ってやりながら。
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