ずっとあなたが好きでした
「で、何で別れたんだよ?」

「七海、中学卒業したら、北海道に引っ越すんだよ。」

「えー?高橋さんはあのグループの中でも良い人なのに残念過ぎる。」

私もそう思った。

七海ちゃんだけは、私が軽く虐めに遭ってた時も優しくしてくれたし、それに里加ちゃん達からも慕われていた。

「で、田川、元気ない訳よ。誰か彼女になってあげて。」

俊也が言った。

女子は皆、田川くんの彼女になりたそうだった。

帰り際に、葉子ちゃんが言った。

「実は私、田川くんの事好きなんだよね。でも元カノが七海ちゃんなんて自信ないよ。七海ちゃんじゃなくても自信なんて元々ないんだけどさ。」

「…。」

やっぱり皆、私みたいな悩みを抱えてるんだ…

私だけじゃないんだ…

恋ってこういうものなのかな?

「香?」

「何?」

「香、前、伊藤くんの事好きだったでしょ?」

「え?何で?何で私が伊藤くんを?」

「分かりやすいな、香は…。あっこが天然だから、気付かなかっただけだよ。香さ、伊藤くんと話す時、たまに顔が真っ赤になるし、わざと伊藤くんに冷たい事言ったりしてたでしょ?」

「そうかな?」

「そうだよ。で、今は矢吹くんが好きなんでしょ?」

葉子ちゃんは、私の事を何もかもお見通しだった。

「え?」

葉子ちゃんは、優しく笑っていた。

「香、可愛いよね!大丈夫!誰にも言わないから!」

私は姐御タイプで、優しくて、皆の事をよく気使ってくれる葉子ちゃんが大好きだった。

そして、私は焦って話を変えた。

「葉子ちゃんどうするの?」

「私?どうもしないよ。ていうか出来ないよ。今日でも田川くんまだ七海ちゃんの事好きそうだったじゃん!」

「吹っ切れてるから、皆に話したのかもしれないじゃん。」

「そんな事ないよ。北海道に引っ越すって言った時、凄く悲しそうだったよ。」

「そう。じゃあ、もう少し待った方が良いのかな。」

「でもね、良いんだ私…。今は見てるだけで十分。せっかくカラーガードの皆とも最近仲良くなれたし、この関係を壊したくないよね!」

確かに、葉子ちゃんの気持ちもよく分かる。

見ているだけで、十分か…。

私も最近、矢吹くんに対してそんな心境だな。

矢吹くんの彼女になりたいだなんて、全く考えた事もないし、今は毎日会えるだけで十分だな…。
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