仮病に口止め料

熱い口づけを行った彼氏を全力で否定したって、クレーマーが真っ赤な顔をしているなら意味がない。

俺のキスに気色が悪いとブーイングを起こしてくれる分だけ、一生懸命恋愛されているなと感謝できる一日となる。


胡散臭い命の水の効果は絶大だったらしく、お花畑の国の病弱なお姫様だって簡単に元気にしてしまった。

ほら、もうすぐ最愛の妹様のためのゼリーを手にした魔女の雷鳴が聞こえるはずだ。



俺は近藤洋平、高校二年生。
背はまあまあ高くて顔はぼちぼち良くて、性格もスポーツも人よりは優れていて、本業は勉強ではなく可愛い恋人のカレシが職業だ。

青春時代は三流暇人キャラをマスターするためにも、積極的に体育祭では一位になりたいと思う。


さて、爽やかが売りの(ナルシストな)少年の手の甲についたグロスと、

愛嬌さが人気の(したたかな)少女の唇から豪快にはみ出したグロスの言い訳を、

からかえるようにあえて二人きりにさせた本物の魔女を丸め込めるレベルで、誰か教えてくれたら嬉しい。


〓仮病に口止め料
〓おわり


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