そんな君が愛しい
「俺は甘いもの苦手。
ビターくらいがスキ」
「へぇ…そうなんだ!」
俺が答えると沙葉は
ただ相づちを打って、この話題は終わった。
…………それだけ?
俺にも
くれるとかじゃないの?
俺はガクッと肩を落とした。
「沙葉ぉー」
俺と沙葉の後ろから
女の子が
走ってきていた。
「羅南【ラナ】ちゃん!」
その女の子に向かって
沙葉が手を振った。
俺は黙って
“羅南”とかいう人を
見つめる。