それはまるで粉雪のように

―入学式―

『……であるからにして……』

永遠に続きそうな入学式の校長による祝辞。

「ふわぁ~~……」

それを耳から口へと出すように聞いている1人の大きな欠伸をしている新入生、御影健二。

「眠い……」

そう言って、もう一度欠伸が出そうになった時、横から声がかかった。

「おい、大丈夫か?寝たら生徒指導室もんだぜ?」

声の主は谷口。入学式前の教室集合で知り合った友達。

「生徒指導室は御免願いたいね……」

健二が苦笑気味に軽く受け答えすると、谷口の真剣な表情が変わった。

「ま、入学したばかりの俺らを普通はいきなり生徒指導室なんかには連れて行かないよなぁ?」

「確かに……それもそうかもな……」

2人で笑っているといつの間にか校長の祝辞は終わり、式場のスピーカーから生徒指導の教師の言葉が聞こえてきた。

『新入生だからといって、決して甘くはないんで、そのあたりはキチンと高校生らしくしてくれ。』

「さすが高校だな」

「そうだな。さすが中学とは違う……」

健二の言葉に同意する谷口。

『新入生でも学校の規則を守らんやつは、すぐに生徒指導室送りだからな。』

「…………」

「…………」

生徒指導の教師の言葉に固まる、谷口と健二であった。
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