それはまるで粉雪のように
「なんであんなものが健ちゃんは分かるんだろ……」

「あ~健ちゃんね……」

「健ちゃん?」

みさきは健二のことをもちろん知らない。その事にいち早く気付いた汐見は説明を加えた。

「健ちゃんてのは、美帆の幼なじみのこと。理数系科目……特に化学においてだけ、すごい成績なの」

「へ~……その『健ちゃん』という方、名前は何というのですか?」

「確か、御影健二だった……かな?どう、美……うっ……」

汐見が美帆に健二の名前を確認しようとした。が、美帆はまだブツブツと1人で言葉を漏らしている。

「なんで……理数系科目なんて分かるのかしら……」

「え~っと……美帆……?」

「理数系教科なんて何の役にも立たないじゃないのよ……なのになんであんな教科が好きなのかしら……」

美帆は壊れたラジオのように、音を吐き続けている。それを止めるのは

「美帆!!」

当然、汐見である。
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