チューリップの王子様

「目は…その…」


目を隠すように俯いて、何か言い訳をしようかと思ったが、何も浮かばない

俯いている私に近づく王妃様の気配

王妃様の気配が私の目の前で止まり、怖くなって身を強ばらせる


「あの子が居るみたいだわ…」

「え…?」


王妃様は、意味深な言葉を口にした後、私を抱き締めた

お母様が亡くなってから、もう感じることは出来ないと思っていた暖かな腕だった


「カノンちゃん…っていうのね?素敵な名前ね」


暖かな温もりが少し離れて、王妃様が私の顔を見ている


「ありがとうございます」


私が言うと、王妃様が私の頭を撫でた


「いつでも、いらっしゃい?カノンちゃん」


王妃様はそう言って、また私を腕の中に納めた

もちろん私は…


「はいっ」


っと答えた

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