あの2日前
仁と春

仁だけの気持ち

第一桜山工業高校2年1組

山幸 仁。
これが俺の名前。

で、葉川原 春。
これが俺の殺したいくらい嫌いな親友の名前。


春。
お前と出会ったのは小1の時だった。
背も俺より全然小さくて、すぐ泣くしマジでうぜーんだよ。
春が同級生にイジメられてるのを俺が助けたら、お前「ずっと親友だよ!」なんて思い上がってさ。
まじでキモイんだっつーの。
春が使ってた、あの古臭いアズキ色のフレームのメガネを踏み砕いて春の上履きに入れて置いたの、あれ俺だから。
感謝しろよ。
クラスのみんなも先生も親も全員がおめーを心配してくれたろ?
ともだちがいないって泣いてるから俺が助けてやったんだぜ?

たしか「春のメガネ事件」とか言って犯人探ししたよな。

まじで笑えた。
担任の先生が朝教室に入ってきてすぐに、「春くんのメガネ事件の事なんですが」って話し始めた時、俺笑いを堪えてさぁ、ほんっと腹が痛くなったよ。

なんなんだろうな。

俺、どうしても春を好きにはなれない。

勉強が出来るわけでもない。
運動が出来るわけでもない。

なのになんで、いっつもいっつも俺より前にいるんだよ。

ムカつく。いつかぜってー殺してやるよ。
< 1 / 10 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop