記憶のつぶ
微かにした。
「あ、ホントだ。そうだね。うん。屋台から買って食べようか。」

真夏の夜風が吹き出した。


会場は高い土手が続く河川敷。
もうかなりの人でうめつくされていた。

川岸近くに屋台が色々並んでいる。

焼きそば、フランクフルト、タコ焼き‥
「さ、どの辺で見ようか?」

二人なので場所は簡単に確保出来た。
「まだ明るいな〜7時からでも早過ぎじゃないかな?」
「そうですね〜」
太陽はまだ全然沈む気はないようである。
「あ!」
「どうかしました?」
「飲み物忘れたよ!」
「私が買ってきましょうか?」
「いいよ。俺行ってくるよ。お茶でいいかな?」
「はい。」
彼は時間がないんだ!
と言わんばかりの早さで走って行ってしまった。
ゆっくりいっても何も支障はないのに。
思わず笑いが込み上げてきた。

真っすぐな人。


私の世界には彼以外の知り合いはいないけれど、彼がとてもいい人なのはわかる。

周りを見渡す。

こんなに人はいるのに‥

“私”の事を知っている人はいないの?

“私”の事を教えてくれる人はいないの?

そんなの大変な確率なのは知っているけど、
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