パラレルライン



ってか、今日花火大会だよな!?

百合ちゃん彼氏といなくていーのかよ!?


「……百合ちゃん…彼氏んとこ行かなくていーの?」

「…?」

俺が訊ねると百合ちゃんはきょとんとした。

ほんと、リスみてえ。


「あ、昨日別れて……」

「え…?」


うそだろ……?


「だから、今日は絢美ちゃんと花火見ると思ってたけど……絢美ちゃん来ないし…」


まじかよ…

百合ちゃんが

彼氏と別れたなんて…


「寂しいから一緒に行かない?せっかく浴衣着ちゃったし」



俺は、なんて幸せ者なんだろう。

学年のアイドルで、遠くて手に届きそうもなかった百合ちゃんと

花火を一緒に見れるなんて…


「うん、行こう」



今日という日が


終わらないでほしい



夏の夜空にそっと願ったとき、
ちょうど花火が上がった。


今まで見た中で一番きれいな花火だった。



***





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