世界で1番君が好き
「その辺にしときなよ、京」

私と京君は同時に糸山君を見た。

「いざ本人を目の前にしたら言えないこともあるって。
元カノのこととか」

糸山君、さすが。
鋭いんだから。

京君が気まずそうな顔をする。
やっぱ桜さんの話はタブーなのかしら。

「圭ちゃん、京と桜さんのこと聞きたかったらいつでも俺に連絡してね」

そう言いながら糸山君はいつ書きとめたのか、電話番号とアドレスが書かれた紙を私に差し出した。

「あ、今教えてもいいんだけど…」

糸山君が私に耳打ちしようと近づく。

ふわっといい香りがした。

だけど。
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