ゆめ

「あっ、はい…」



ゆめは、本当にうちの子みたいに溶け込んでいた。
まるでずっと前からうちに居たように違和感もなく…。





「いってらっしゃあい!」



健太が仕事へ行き、ゆめとふたりきりになった。


ゆめは私が行く方行く方へくっついてくる。
茶碗を洗えば踏み台に乗って横で水遊びをし、洗濯物を干せば洗濯バサミで遊んでいる…。





「…洗濯バサミ、ちょうだい」

「はーい」

「…1個じゃ足りないなぁ…。全部ちょうだい」

「だってゆめ、おしろつくってるんだもん」

「うーん…、洗濯物とんじゃうよ…?」

「だって…うっ…うっ…」



やばい。また泣き出しそう…。



「わかったわかった!もういいから、お城でもなんでも作りなさい」





ゆめは嬉しそうに、また洗濯バサミで遊び始めた。


…何がおもしろいんだか。




ープルルルル



電話。



母だった。



「どうしたの?」

『どうもしないわ。ちょっとしてみたの!』

「そっか」

『ねぇ、たまにはゆめちゃん連れて来なさいよ』



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