【短編集】闇に潜む影
しかし。
次の司会者のことばで、私は見たくもない現実に直面させられた。
私の前で待つ、1人の美しい女。
煌びやかなドレスを着て、
穏やかな笑顔を浮かべている。
艶やかな長い髪。
すらりと伸びる手足。
垢抜けたその姿に、昔の面影はない。
変わらないのは、
彼女の美貌と、
私の彼女への感情。
言い表したくない。
消し去ってしまいたい。
だけど、
私の心の中の青白い炎は燃え盛る。
卑屈という感情を刺激しながら。