【短編集】闇に潜む影
僕の横を、スローモーションのようにすれ違っていった二人。
僕は立ち止まり、その二人を目で追った。
男と女。
仲睦まじそうに、手を繋いで歩く。
女の方は、・・・そう、「彼女」だった。
あの綺麗な笑顔。
くるくる変わる、たくさんの表情。
まぎれもない、僕の運命の人だった。
僕は、金縛りにあったかのように、その場から動けなくなってしまった。
一瞬にして冷たい氷のようになった体は、全てを疑った。
今見た光景を。
今いる場所を。