ユメとソラ
「ねぇ、ミク、そろそろ、場所変えない?」


「これからどうしょっかぁ〜?」


「うちにいかない?今日お母さん帰ってくるの遅いと思うし。」


「うん。行く、行く。ユメの家、ひさしぶり〜」



ミクと二人で家に向かう途中、ふと、電柱に貼ってある、派手派手なビラに目を奪われた。



「ホステス、募集中。アルバイト歓迎。 club薔薇」




「ねぇ、ミク夏休み、何か予定あり?旅行とか?」


「退屈だよ。こんなときに、彼が役にたったのに、おいときゃあ、よかった。」

「ミク〜それ、ひどくない?」


「ユメ〜やっぱり〜。」


「それで、何かあるの?」

「うん。興味津々。」



あたしがそのビラを指さすと、ミクはびっくりした顔で。


「えっ?ユメ、ホステス!?冗談、冗談。」


「あたし、いくつに見える?」


「ダメ、ダメ、学校にばれたら、アウト。」


「ねぇ〜ミク〜あたし、いくつに見える?」


「二十歳ぐらいかも。ううん、もっと上。」


「明日、面接いってくる。」


「ねぇ、一人で行くのちょっとだから、ミク、お願い、一緒に行って。お願い。」


「多分、高級クラブなんじゃあないの?無理だと思うから、社会見学、いく。」

「そうそう、社会見学、社会見学。」



家に帰るまでの間、その話題でもちきりになった。


あのビラを見たとたん、何かを感じたのは、まちがいない。


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