この世界は残酷なほど美しい


それを見た瞬間、僕は何も言わず逃げ出した。
そして行き着いたのは保健室。あいにく今日は養護の先生が出張のため保健室は使い放題だった。
三台あるベッドのうち一台は朝から僕が占領している。

何となく教室に行きづらい僕はここへ来て随分と時間が経っていた。
そしていつの間にか夕方になっている。

馬鹿だと思うよ、自分でも。
本当に何してんだろって。
空回りもいいとこだ。

授業が終わり放課後になると蓮が様子を見にきた。
そして今に至る。



莉子のことを話すと蓮が発した一言目は「だから?」だった。そう言われるとは予想していなかったから返す言葉が見つからなかった。



「きっぱり振られたわけじゃないんだろ?」



「振られたようなもんだよ。あんな写真見せられたらさ。」




「つーか流星は勘違いしてないか?」



携帯をいじりながら蓮は言った。
僕は真っ白い天井を見つめたまま。



「どういう意味?」





「振られたからって何をそんなにいじけてるわけ?別に振られたっていいだろ。」




< 170 / 326 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop