この世界は残酷なほど美しい


どうしてその寂しさを僕に言わなかったのだろう。
まだ僕が幼かったから?
だけど僕は父さんの傍にいてあげることだって出来たのに。
僕たちは親子じゃないか。

父さんは一人で色々抱えすぎなんだよ。
僕をちょっとだけでもいいから頼ってくれてもいいじゃないか。



「僕…今まで父さんに酷いこと…してました」




「無理もない。正直に言わなかった雅も悪いんだ。あと…あの写真集は本当は全国発売されるはずだった。だけど雅はそれを中止にしたんだ」




だから…蓮の部屋にあの写真集は無かったんだ。
そして書店にもあの写真集は置いてはいなかった。
理由は?父さんがそうした理由は?




「…何で」



「自分の心にだけ残しておきたかったって雅は言ってた。美羽を独り占めしたいからって。すごいヤキモチだろ?それで出版社側とは揉めちゃって、契約を切られたって笑って話してた。」



母さんに対する愛が見えた。
父さんは一生懸命母さんを愛していたんだ。





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