この世界は残酷なほど美しい
ヒカルは俺の涙を見て言葉を失ったようだ。
「美羽と約束したんだ。死ぬまでずっと一緒だって。美羽は約束を破ったりなんかしない。だから俺は…信じたくないんだ」
キミがいないこと。
「雅…これ…」
ヒカルは隣に座り写真集を手に取った。
最高に仕上がった写真集。
美羽には見せられなかったけれど、その中にも美羽は存在していた。
「…美羽のために作ったんだ。結婚記念日のプレゼントに」
覚えてる?
今日は俺たちの結婚記念日だって。
偉いでしょ?
ちゃんとプレゼント用意してあったんだよ。
「そうか…雅……」
「美羽に見せたかった。きっと美羽は恥ずかしそうに笑ってくれると思ったから…俺は…美羽を……」
目をギュッ閉じて、写真集を渡す瞬間を想像してみる。
「写真集できたんだ」
「え!本当?私綺麗かなぁ?」
「美羽はいつでも綺麗だよ」
「またそんなこと言って!」
ゆっくりと目を開けるとそこには蒼空が広がっていた。
そして一粒また涙を流す。
できることならば、
俺は…キミを―…
「失いたくなかった…」