パパはアイドル♪vol.2 ~奈桜クンの多忙なオシゴト~
「オレ・・・」



何か言いたいが、奈桜は何も言えない。
何も出来ないからだ。
事務所絡みなら言いようがない。
口出し出来る話ではない。



「あっ、もう時間じゃない?仕事、あるんでしょ?行かなきゃ」



何だか一方的に梓だけ喋っているような気がした。
奈桜は自分の力の無さを痛感する。
ただ会っただけで梓の力になれたのか?
もっと何か出来ないか?
想いはいっぱいあるのに、時間がない。



「梓、ごめん。もっと時間があったらいいのに。・・・ごめん。いつもこんなで。でも、オレは梓を信じてる。マスコミが何を言おうと。大丈夫だから。・・・梓はオレのものだからな!」



言ってしまった。
思い切って言ったものの、梓のリアクションが気になる。
梓はちょっと驚いたものの、すぐにクスッと笑った。



「ありがとう。そう言ってくれて。・・・私も奈桜を信じてる。信じてくれてるって。私ももう帰るね。・・・行ってらっしゃい。気を付けてね」



この何気ない『行ってらっしゃい』の会話を、いつになったら普通に交わせるのだろうか。
並んで同じ方向に向く日が来るのだろうか。
2人とも後ろ髪を引かれる思いで別れて行く。
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