俺様王子の秘密

体育館は、天井の大部分がガラス張りになっていて、電気をつけなくても明るい。

入学式は、お馴染みの校長の長い話が大半だった。

新入生、って言っても小・中と経験して来たので、これで3回目。
この長い話にも嫌気がさした生徒が多いようで……。

「生徒会長ってさぁ……」
「すげーよな。成績いいし、スポーツできるし」

などなど、新入生にも関わらず、校長の話を無視して話をする者、あくびする者、さまざまだった。

しかし、ここは元を辿れば中高一貫。
中学から進学して来た人がほとんどで、あたしや美保みたいに、高校受験の人は少ない。

あたしの周りは、とても静かだった。

「皆さん、これからの高校生活、楽しく過ごしましょう」

やっと校長の長たらしい話が終わり、あたしがホッとしているのと裏腹に、周りの生徒が黙り始めた。

あれ……? なんでだろ。いきなり静かになったような……。

「続いて、新入生兼生徒会長挨拶」

は?

聞こえて来た進行アナウンスに、一瞬耳を疑う。
新入生ケン生徒会長?
どういうこと?

みんなが黙った原因って、これ?

一人の生徒が壇上へ上がって行く。
その後ろ姿に、多少の違和感を覚える。

あ――。

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