俺様王子の秘密
女の子が去った後、男の子はあたしに近づいて来た。
うわ。なんか言わなきゃ……。
「ご、ごめんなさい!! あの、このこと誰にも言いませんから! それと、今後一切、邪魔もしませんし……」
すると彼は、ニコッと笑った。まるで、王子様みたいに。
でもその笑顔は一瞬で、悪魔の微笑みへと変わる。
「はぁ? 人のキスシーンのぞき見といて、ごめんなさいで済むと思ってんの?」
「へ?」
「ただで済む訳無いってこと。許してほしかったら……」
彼はそう言った刹那――あたしの唇を塞いだ。
彼の、唇で……。
「ちょっ!?」
「黙んないと、舌入れるよ」
いきなりのことに混乱するあたしをよそに、彼はあたしの唇を奪い続ける。
「やめ……」
彼の胸を強く押すけど、彼はびくともしない。それどころか、キスはどんどん深くなっていく。
こんな華奢な体の、どこにこんな力があるんだろう?
やっと離れた唇。
肩で息をするあたしのネクタイを少しだけ緩め、彼は悪魔の微笑みを浮かべて、あたしに言った。
「許してほしいなら、カラダで訴えなきゃ。ね?」
こ、怖い……。