俺様王子の秘密
不意に名前を呼ばれた。しかも、悠斗から。
「今、呼んだ?」
「呼んだ」
だって、ずっとお前かあんただったじゃん。なんで、いきなり名前なんかで……。
「ちょっと」
手招きする悠斗。あたしは逆らえなくて。悠斗の目の前に、座った。
「なに?」
「ん? 礼」
刹那、チュッという音が、室内に響き渡る。
「へ?」
『バーカ』
口パクで言いながら、にやりと笑う悠斗。
キス、されましたよね?
唇に触れるあたしを、悠斗はニヤニヤした顔で見てくる。
こいつ~~~~~~~!!
悠斗は立ち上がると、あたしの耳元に口を近づけて、囁いた。
「これで、俺の風邪あんたに移るね?」
にやりと笑う悠斗。
唖然とするあたし。
直後――
「ふざけるなーーーーーーーーーーーー!!!!」
あたしの絶叫が、悠斗のマンションに響き渡った。