俺様王子の秘密
【悠斗side】

目を開けると、緩奈が眠っていた。
俺、緩奈に膝貸してもらったんだっけ?

頭を上げて、緩奈を見つめる。
伏せた睫毛は長くて、小さく上下する肩を見るたび、その華奢な体を抱きしめたい衝動に駆られる。

てかコイツ、自分も寝てんじゃん。
しかも、俺より爆睡してない?

そっと、緩奈の唇にキスを落とす。

「…ん」

少し反応を見せただけで、眠り続ける緩奈。

だから無防備なんだよ。

緩奈のことは、中学のときから知っていた。
『隣の中学に、可愛い子がいる』。
もちろん、ウワサだけだったから顔を合わせたことはなかったけど、入学式の日、生徒会室に来た女を見て、すぐに緩奈だとわかった。

実際の緩奈は、気が強くて、負けず嫌いで、ウワサよりも可愛かった。

すぐに言い返すところも、驚きながら口を押さえる仕種も、全て可愛く見えてくる。

今まで、女のことを面倒臭い生き物だと思ってた俺だけど、こんなにも興味を持ったのは緩奈だけだった。

「ゅう……と?」

やっと起きた緩奈は、寝ぼけているのか目がトロンとしていた。ヤバイ、理性保たなそうだな……。

< 46 / 83 >

この作品をシェア

pagetop