俺様王子の秘密
ふれあい広場は5階にあるらしい。
5階には、専用エレベーターで行けるらしく……
「このエレベーターすごい!!」
ここのエレベーター、構造を教えてほしい……。
エレベーターの中は、一面ガラス張りで、その奥には水槽が広がっていた。
――つまり、水槽の中にエレベーターがあるんだよ。
しかも、サメがいる、な。
「でも……なんでサメがいるんだろうね?」
苦笑いを浮かべながらも、なんだかんだ言って楽しそうにはしゃぐ緩奈。
本当、見てて飽きないな。
すると、いきなりエレベーターがガタンと揺れたと思ったら、電気が消えた。
「キャッ!!」
そして、勢い良く俺に抱きつく緩奈。
な、なに?
「今の、なに!?」
「停電したみたいだぞ? 外でいろいろ騒いでるしな」
さっきから、ドアの外から叫び声が聞こえてくる。
それに混じって、館内アナウンスの声も。
アナウンスがなにを言ってるかは分からないが、電気消えたし停電だろ。
雷鳴るって言ってたし。
「もうヤダー!! 早く電気付かないの!?」
俺にひっつく緩奈は、素直で可愛いと思うけど……俺の耳元でデカイ声出すな。
さっきから、『ヤダ』とか『怖い』とか、やたらデカイ声で叫んでくる。
聞かなきゃいけないこっちの身にもなれよ。
そんなことを思っていると、緩奈の体が小さく震えていた。
「どうした?」
「ゆ、うと……。あたし達、どうなっちゃうのかな……?」
俺の服の袖をつかみながら言う緩奈の声は、少しだけ震えていて、気付けば俺は、緩奈の華奢な体を抱き締めていた。