春 ~風が吹いたら~
それから潤悟は、その話をさっさと切り上げて、仁との大学での話を楽しそうにし始めた。
あたしは、有沙ちゃんが話さなかったのだろう。
そう思いながら、その楽しそうにしている潤悟の話を隣で普通にきいていた。
この時のあたしは、これが…潤悟の優しさなんだとも、知らずに。
∥∥ 数日前。∥∥∥∥∥
バイト先に、有沙がきた時のこと。
潤悟は、有沙に華恋が連れて行かれるのを見送ったあと、渋々仕事へと戻った。