春 ~風が吹いたら~
『なんか、昔を思い出すよね!その怪我、やっぱ、あの華恋は今も健在なわけ?』
『懐かしい!よく怒鳴られたっけ!でも、メッチャかっこいいんだよね~。』
あたしにとっての、舞香はもちろん、紗弥加もさちも大切な友達だけど、過去を知っている人たちとは…会いたくなかった。
『あたし、トイレ行ってくるねぇ。』
あたしは席を立った。
ここには、あたしの怪我を見て、
『どうしたの?大丈夫?』
なんて声をかけてくれる人はいない。