春 ~風が吹いたら~
『私は外に出てるよ。2人でゆっくり話しなさい。』
先生は気を遣って、病室を出ていった。
『来る頃だと…思ってた。』
あたしが言うと翔は、泣きながらあたしを抱きしめた。
『生きてて…よかった。』
『翔も前にあたしが言ってたこと、聞いてたでしょ?命だけは落とさないって。』
あたしは翔に笑いかけた。
『……怪我は…?』
『まだ、治ってない。でも、翔がここに来た時が、最終ラウンドの幕開けなの!』