明日が欲しい
第4章・・・春から秋へ
≪春≫
高校2年に進級した僕達は,相変わらずバカな事ばかり言って過ごしていた。
出来るだけ病気について触れない様にする為の僕なりの考えである。
なるべく外に行かず, 彼女の家で放課後を過ごしていたが,桜が咲き心地よい風に包まれた外を見ながら
『ねぇ!たまには郷東川の河川敷にピクニックに行けへん?』
『ウン,そうやの。
ほんだら,今度の日曜日,天気が良かったら行こうかの。』
『そやったら,うちお弁当作るな。美味しいもん作ってあげるわ。
浩志!なにが好きやのん?』
『香織が作るより俺の作るお弁当の方がよっぽど美味しいで!
心配せんでええけんお弁当は俺に任しときな。』
と笑って窘めた。
無理をさす訳にはいかない。
この花見でさえ、無茶なのに。最近学校ですら休みがちの香織に花見自体間違っているのである。
しかし出来るだけ彼女の事を考えると,今度何時花見が出来るかさえわからない状態だから,今の内にと心に言い聞かせた。
一応両親もお医者さんがOKならとの事で,私は定期検診の時にこそっと院長先生に聞いてみた。
『無理をせず,1~2時間なら!』
との事である。