天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(後編)
「あはははは!」

嬉しそうに笑いながら襲いかかってくる天使にタイミングを合わせ、カレンは拳を突きだした。

「え」

天使の顔が驚きから、一瞬で苦痛に変わった。

「チッ」

カレンは舌打ちした。

「まだまだ…バカ師匠の域には達していないな」

と言うと、天使の鳩尾に拳を突き刺した状態で、拳に力を込めた。

「フン!」

「うぎゃあ!」

悲鳴を上げて、天使はふっ飛んだ。

「そ、そんな馬鹿な!」

地面を転がりながら、天使は絶句した。

「人間如きに!」

そして、周りに転がる死体に気付き、

「そ、そうか!食った魂の数が少ないのだ!我々は、魂の数で強さが決まる」

喰らう人間を探そうと、その場から逃げようとした。

「させるか」

カレンは一瞬で、間合いを詰め、蹴りで天使の足を破壊した。

「ぎゃああ!」

悲鳴を上げて、倒れる天使は、化け物を見るかのようにカレンを見た。

「お、お前は…何者だ?」

「ただの人間だ」

カレンは再び拳を握ると、天使の顔面に突き刺した。

天使の後頭部から、血が噴き出した。

「たった1人の人間に…」

「人間を舐めるな!」

カレンが拳を抜くと、天使の体が消滅していった。


「カレン」

向こうで戦いを終えた九鬼が、眼鏡を外して、変身を解いていた。

ずっとついていた右足のオウパーツも、消えていた。

どうやら、乙女スーツと完全に融合したようであった。

「いくぞ。恐らく、やつらの仲間は大勢いる。あたし達のような、戦う力を持った者達が守らないと」

「ええ」

カレンの言葉に頷くと、九鬼は走り出した。

「人が死んでいく気配がする!急ぐぞ!」

カレンはピュアハートを回収すると、九鬼と並んで走り出した。

人々を救う為に。
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