天空のエトランゼ〜レクイエム編〜(後編)
しばらくの間の後、俺は言った。

「はあ?」

寝耳に水だった。

「昔、言っただろ!い、いろいろあってできたって…」

アルテミアは、口を尖らせた。

「いろいろ…あったことがないぞ!」

俺の反論に、アルテミアはキレた。

「いろいろあったら、恥ずかしいわ!!」

その迫力に、俺はこれ以上訊けなくなった。

「エ、エミナは〜三人の女神の力を使える、最強の女神」

アルテミアは、胸を張った。

しかし、次の瞬間、そのまま凍りついた。

「な、何だ!今の魔力は!」

「お、俺か…」

そのレベルは、分身である俺にとっても、予想外であった。

「つ、強くなっている!」

別れている間に、本体のレベルが上がっていた。

「あ、赤星!」

アルテミアは、唇を噛み締めた。

今まで、滅多に出したことのない全力の力…いや、恐らくは、これまでにない力を感じ、アルテミアは赤星浩一の本気を知った。

そして、その意味を、分身である俺は、わかっていた。

(本気で、殺せ!そして、人質になっている人々を救って欲しい)

俺は、自分自身の思いに、顔をしかめた。





「どうなることかと、思いましたよ」

艦長は、甲板上で立ち尽くす赤星浩一に近付きながら、言った。

「この艦が破壊されていたら…中にいる人々が亡くなっていましたから」

空母の下には、人質である民衆の一部が、クルーの名目で捕らわれていた。

「まぁ〜あなたがいれば、問題はありませんけど」

と言った後、笑う艦長を見ることなく、赤星浩一は足下を見下ろした。

その下にある沢山の守るべき、命を見守るように。

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