漆黒の姫君
序章



少女の美しい漆黒の髪は風にたなびき、抜けるような白い肌は夕日が染めていた。






「だから、私はあなたの事知りませんし、これから知るつもりもありませんから。」



「いいじゃん。ほら、知れば知って良かったなぁって思うかも知れないしー。」



「…だから、知りたくもないんです。あなたと関わるつもりはこれっぽっちもありません!!」



「またまたー、そんな事言っちゃってー。もしかして愛里ちゃんってツンデレ?」


男が下品な笑みを浮かべ少女に言った。少女はその言葉を聞いて形の良い朱唇を歪める。



…私がツンデレ?この人、頭がおかしいの!?こんなに断ってるのになんで通じないの…!?

…もしかして宇宙人?




小さい丘の上の公園。夕日が街を赤く染め、道には手を繋いで歩く親子が見える。そんな日常と変わらない時間が流れていく中、少女”篠田愛里”は困っていた。


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