はつこい―君が笑ってますように。―
「ごめんね、田野くん。
私、好きな人がいるの。」


言ってから、
『好きな人がいる』と私に言ったママも、
こんな気持ちだったのかな、
と思った。



「でも、好きです。」


田野くんは腕を掴む力を強めて、一生懸命に言った。



それから田野くんは、練習を見に行っても、
積極的に近づいて来るようになった。



東くんはそれを見ては笑っていた。



そんな日々を2年くらい過ごした頃、
田野くんが私の通う中学に入学した。
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