永遠の約束-聖母の涙-











 三人が話していた先ほどの話。


 彼女が吸血鬼と言った、その理由はなんとなくだが、深青にも理解はできていた。


 だけど、ただの噂話で架空の話をしている彼女たちと深青の間には決定的な差がある。


 そんな架空の中でしか出てこない目に見えない化け物たちを、深青は見ることができるし、何度か戦ったこともある。


 だけど、そんな深青の中で『吸血鬼』という答えは出てきていない。


 それには決定的なものが亡くなった女性たちには、なかったから。





 遥か昔の中国から伝来され、日本の陰陽道を芯とする深青。


 そんな深青にも、吸血鬼というものの存在は、文書に記されていた。





【首筋に噛み付き、生きた人間の血を吸い、時には死に至らしめる不老不死の西洋に伝わる魔物】





 それが、吸血鬼に関して書かれていた簡潔な文章だった。





 恐らく、彼女たちが【吸血鬼】の仕業だと位置づけたのは、これまで被害に遭った生徒たちは致死量に相当する血液が抜かれていたからだろう。


 その一点を考慮すれば、確かに【吸血鬼】というのは間違ってはいない。


 だけど、そもそも【吸血鬼】というものが現代に存在しているのか、それが深青には疑問だった。


 最もポピュラーな魔物であり、映画や小説にもなっているのは知っている。


 だが、現実社会でそういった魔物と近い存在にいる深青には、吸血鬼はポピュラーでありながらも、それは人が作り出した仮想生物であるとしか思えなかった。





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