恥ずかしがり屋な君と無自覚な私


「は、橋本くん!」


三日月は大きな目をこれでもかってくらい見開いた。


そんな驚くようなことでもないと思うけど。


「三日月、お前何してんの?」

ナンパされてるのなんか見たら一発でわかるんだけどな。


「何って!…」


そう言って黙り込んだ三日月。

なんなんだ?

普通わかるだろナンパされてることくらい。


「三日月?」


そう聞いたらこんどは2人組の男の1人が話しかけてきた。


「おい、お前なんだよ?この子は俺たちと一緒に遊ぶんだよ!」


「ち、違うもん!私は橋本くんと遊ぶんだもん!」


やっぱ三日月って面白い…。


まさかナンパ相手に必死で言うとか驚いた。


「ってことはあんたらが勝手に言ってるだけだろ?行くぞ三日月」


そう手を掴んで言うと、三日月は

「へっ?」

と、なんとも言えないまぬけな声を出した。


なんつーかやっぱ危なっかしい…。


なんとなくそう思いながら歩き出すと男に肩を掴まれた。


「おい、待てよ!」


「何?」


こっちは朝からめんどくさいのにあって腹立ってんだけど。


そう思いながら男を睨みつけると2人組は俺たちと反対方向に逃げていった。


めちゃくちゃムカつく。



< 55 / 64 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop