ＢＡＣＫ

ＢＡＣＫ 1

思

緑の占める割合が増えていく景色を見ていた。美鈴はふっと前回の里帰りを思い返していた。

あの時か…

挙式を一ヶ月後に控えて美鈴の心は５年前の自分に起こった出来事を思い出した。

まさか、私が結婚するなんて誰も想像できなかっただろうな。
自分でも信じられないのに。


車内に到着のアナウンスが流れる。

５年ぶりかぁ。変わってないなぁ。やっぱり田舎だ。

そんな事を思いながらもかわらぬ故郷の温もりを感じた事に安心している自分に気付き、

やだ、おばさんみたい。年とった証拠だなぁ。

ニヤけた顔を隠そうとうつむきながら歩いていると、母親の声が目の前から聞こえた。

「なに、ニヤニヤしてんの？気持ち悪いわねぇ」

「お母さん、ただいま。会って早々気持ち悪いはないでしょ！」

変わらない親子の会話にまた、ニヤニヤしてしまう。

「なに、顔になんか付いてる？」

「な〜んでもない！帰ろっ！お腹すいちゃった」

「はいはい、変な子ねぇ」