KISS AND SAY GOOD-BYE

大学二年生 前期






大学2年生となり、漸く車での登校も許可され、雨の日や暑い日、またまた寒い日も登校が苦に成らなくなった。



流石に、土砂降りの雨の中、バイクで埼玉までは辛すぎた。



なので梅雨時期は、バスで登校していた。



真冬の早朝、凍結した道をガタガタ震えながら走るのも辛かったなぁ‼



今年の2月に車検も受け、今では愛車のセイバーで毎日、家と大学の行き来をしている。



~☆。~☆。~☆。~☆。~☆。~



正月明けにカーパラダイス本店の方から車検の案内が来ていたので、電話で予約を入れてから、バイトがオフの時にカーパラダイス本店にやって来た。



「新井社長、ご無沙汰しています。」



『これは桧山様、ようこそ。

ご連絡頂きありがとうございます。』



「そんなあらたまらないで下さいよ。」



『ハハハ……、そうですか!?

それはそうと、沢山のご紹介本当にありがとうございました。』



「それですよ、社長!

気が付いたら、ここの場所を一生懸命宣伝してました。

新井社長の魔法、凄いです。

ところで、何人くらい来ましたか!?

5台くらい売れてたら、嬉しいんですが……。」



『何を言ってるんですか!?

5台!?

そんなもんじゃないですよ。

とにかく、武蔵野芸高の桧山君から紹介して貰って来たんですけど!って言ってやって来られた方が25人ですよ。』



「でも、みんなが全員、車をここで買った訳じゃ無いでしょ!?」



『そりゃ、そうですけど、24台売れましたよ。』



「えぇ~っ!

じゃあ殆ど全員じゃないですか!

でもそれは、私の力じゃなくて、新井社長の人間性と手腕ですよ。

凄いなぁ~。」



『買われなかった1人は、取り敢えず訪ねて来られたんですが、まだ免許を取得されて無かったみたいで、免許を取ってからまた来ますって仰ってましたよ。』



「それじゃあ、僕も少しは新井社長に貢献出来たみたいですね。」



『貢献も貢献、大貢献ですよ。』



「そんな大袈裟な社長!!」



『本当ですとも。

なんせ、その車を買われた24人から発生して、紹介の紹介で既にこの1年半の間に、24台とは別に19台売れましたから。

桧山様から発生して43台ですよ。

それだけでも、ざっと見積もってうちは数百万円の利益が出てますので、こちらとしては嬉しいかぎりです。』



「マジですか!」



『マジなんですよ。

ハハハ、車検も皆様次回分はただにしておきましたから、喜んでいただけてると思います。

車体価格にしても、桧山様のご紹介ということで、こちらも勉強させて頂きましたから、ご安心下さい。』



「そんなんで、ほんとうに社長の方に利益が出ているんですか!?


無理をなさってるんじゃ無いですよね!?」



『はい、勿論でございます。

こちらも商売人ですから、お客様から喜んで頂けるならサービスもしますけど、きちんと儲けも念頭に入れてのサービスですので大丈夫でございます。

本当に数百万円の黒字ですので。』



「本当に新井社長は凄い人ですね。

またまた魔法に掛かりそうです。」



『ハハハ、そうなって頂けましたなら、こちらとしても幸いです。

これで益々、カーパラダイス本店が潤うと言うもんです。』



「社長、秘密を教えて下さいよ。

どうやったら、そんなに低価格で車が販売出来るんですか!?」



『知りたいですか!?』



「はい、勿論です。」



『簡単な事なんですよ。

この業界には通り相場って言うのが有るのはご存じですか!?』



「まぁ、だいたいは……。

何年製のどの車種なら、だいたいいくらとかって言うやつですよね。」



『そうです。

その通り相場ってやつがポイントなんですよ。

通常、この通り相場の中には、元々値引き分の金額も入ってますので、お客様との話し合いで値引きしているような形を取ってますが、はなっから値引きするのを踏まえた金額なんで、お店側としては小芝居をしてるようなもんなんですよ。』



「なるほど。

それにしても私の時なんか、かなり安くしてましたけど……。」



『それは、こちらの腕ですよ。

最初、仕入れの段階で如何に安く仕入れて来れるか!

これが日々の私どもの課題です。』



「なるほど。

で、その安く仕入れるコツとかってのは……」



『ハハハ、それはお教え出来ません。

この魔法を使うためには!!!』



「ですよね。」



『まぁ、1つくらいならお教え出来ますよ。

それはですね、オークションです。』



「カーオークションですか。

聞いたことあります。

これって、ライセンスが無いと出来ないんでしょ!?」



『さようです。

それと、目利きもですね。

安く仕入れたけど、使い物にならない車を落札してもしょうがないですからね。』



「そうですよね。」



楽しい会話の後、車検の手続きをして、代車にHONDAのインサイトZE1型と言うハイブリッド車で帰宅した。



そんな車検の時の事を思い出しながら、大学から今日も直接バイトに向かう桧山であった。


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